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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第24章 第二部第五話 【冬柿】 父と娘

「その話なら私も聞いたわよ。そうね、おとつつぁんは下働きとしてじゃなく、板前として雇われていたみたい。でも、不思議でも何ともないわ。おとっつぁんは本当に玄人はだしの料理をこしらえるから。上州屋の主だったときも、よく厨房に立って奉公人たちに手料理をふるまってたもの。皆、旦那さまの料理はそんじょそこらの名の通った料理屋よりも美味しいって言ってたけど、あれは満更お世辞ばかりでもなかったかも」

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