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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第25章 第二部・第六話【春咲く花】 再会

「―殿」
 去年の秋から気配を察していたものの、かつての傅育係でもあった源五との対面はこれが実に十年ぶりであった。
「―」
 栄佐は息を呑み、言葉を忘れたようにただ眼前の小柄な老人を凝視した。
「お久しぶりでございまする」
 源五は昔のように律儀に深々と腰を折った。

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