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　栄佐は小紅の手を引いて足早にその場から去った。後には源五が口惜しそうに立ち尽くすばかり―。
　正月早々、どうやら祝言を待ちわびていた栄佐と小紅にひと騒動持ち上がったようだ。
　一方、栄佐は源五がここまで言い切るからには、その加賀藩との姫君の縁談はかなり進んでいるのだろうと見当をつけていた。どの道、彼は今になって角倉家に戻るつもりはないし、顔を見たこともない加賀の姫と結婚するつもりなど毛頭ない。