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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第25章 第二部・第六話【春咲く花】 再会

 確かにそのとおりだ。何の後ろ盾も身分もない、ただの仕立屋風情が八千石のお殿さまの奥方になるなんて、途方もない夢のような話だ。昔のように江戸でも名の知れた上州屋の娘だったとしても、なかなか越えられない身分差というものがあったろう。ましてや長屋暮らしの娘には許されない夢だ。

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