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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第25章 第二部・第六話【春咲く花】 再会

 小紅は部屋の片隅に飛んでいき、安酒の入った瓶を取ってくると、清潔な手ぬぐいをそれに浸し栄佐の傷口を拭いた。
「痛むでしょ」
「なあに、こんなのはかすり傷さ。たいしたことはねえさ」
 栄佐は呟き、小さく首を振った。
「もう我慢ならねえ。身内のことだからと前回は見逃したが、二度もお前を狙うなんざ、到底許しちゃおけねえ。小紅、お前を襲った者たちは―」

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