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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第26章 第二部・第六話【春咲く花】 略奪

「どうせあとひと月後には祝言だもの、許婚同士だから、別にどうってことないさ。ま、栄さん、しっかりやりな。この機会にさっさと赤ン坊の一人や二人、作っちまっても手際がよくて良いかもしれないよう」
 と、意味深な笑顔で栄佐をからかっている。
 とにもかくにも栄佐にはかなり不名誉な誤解なのだが、この際、長屋連中には好きなように詮索させておけば良かった。
 栄佐の用心が功を奏してか、二度目の襲撃以来、特に小紅が狙われることはなく、日々は穏やかに過ぎていっている。

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