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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第26章 第二部・第六話【春咲く花】 略奪

「私はたとえこの生命が果てたとしても、あの中に入るのは金輪際ご免です。母上、父上があなたを愛そうとしなかったのは、あなたが父上を愛していなかったからだ」
「栄之進、そなた、何を言って―」
「母上はいつも実家のご威光を背負っておられた。大名家の姫だというのがあなたの誇りで、その誇りがどれだけ父上を傷つけていたか、母上はご存じなのですか?

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