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「殿のご生母さまに拘わる御事ゆえ、叶うならば、このような事態が起こらぬようにと切に願うておりましたが」
「あい判った。爺、たとえ一刻たりとも、そなたを疑うて悪かった、許せ」
「殿、まだ続きがございます」
　栄佐はもう源五の話を聞こうともしない。今にも飛び出して行かんばかりの勢いだ。源五は呆れたような表情で続けた。
「小紅が現在、囚われておるのは宿場町の遊廓〝川辺屋〟だそうです」