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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第27章 第二部・第六話【春咲く花】 逢瀬

 栄佐はここで極上の笑みを浮かべる。江戸中の女を虜にさせる必殺の微笑だ。
「何を埒もねえことを言いなさる。姉さんのような年増にはまた若え嘴の黄色い娘にはねえ色香があらあな」
 女がふふっと笑う。
「お客さんは顔だけでなく、口も上手いようですねぇ。その男前の綺麗な顔とお世辞で京ではさぞ大勢の女を泣かせたんでしょうよ。憎らしい男だこと」

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