テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第27章 第二部・第六話【春咲く花】 逢瀬

 栄佐自身が泊まっている部屋も既に信右衛門に貌を見られている以上、まずい。栄佐は小紅を抱き上げたまま、周囲を用心深く見回した。と、階段のすぐ脇に小さな納戸部屋らしきものを見つけた。
「あそこだ」
 咄嗟に飛び込んだそこは、栄佐の睨んだとおり、無人の物置として使われている小部屋だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ