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　小紅の上に降りてきた、一つの想いがあった。めぐり逢って今日までの日々、何度も試練を乗り越え、時には傷つき未来のことも見えなくなったけれど、すべてはこの男と結ばれるためにあったのだと信じられる。
「栄佐さん」
　呼びかけた声が自分でも信じられないほど艶めいていて、小紅はドキリとした。
　栄佐が優しい眼で見つめてくる。こんな穏やかで満ち足りた彼を見るのは初めてだ。