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「私、栄佐さんに逢えない間に色々と考えたの。お屋敷に戻ってお殿さまになるってことは、栄佐さんの長年の夢を諦めることにもなるのよね。それから、栄佐さんを頼りにしている大勢の患者さんたちもがっかりさせてしまうわ」
　小紅はそこで言葉を句切った。街道とはいえ、両脇は山や深い草むらが生い茂った淋しい道である。今、二人を乗せた馬はその細い道をゆっくりと歩いていた。