一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~
第27章 第二部・第六話【春咲く花】 逢瀬
はるか頭上でまた鳥が啼いた。
「さあ、そろそろここからは飛ばすぞ。お前と道行きなんざ滅多とねえから、ゆっくりと愉しみたいところだが、こんなところでのんびり油を売って川辺屋の連中に追っつかれても厄介だしな」
栄佐が手綱を引き、馬の腹を蹴ると、馬はすぐに勢いよく走り出した。
「きゃっ、急にそんなに走らせないでよ」
馬に乗るのはこれが初めての小紅はおっかなびっくり、疾駆する馬から振り落とされるのではないかと生きた心地もしない。
「さあ、そろそろここからは飛ばすぞ。お前と道行きなんざ滅多とねえから、ゆっくりと愉しみたいところだが、こんなところでのんびり油を売って川辺屋の連中に追っつかれても厄介だしな」
栄佐が手綱を引き、馬の腹を蹴ると、馬はすぐに勢いよく走り出した。
「きゃっ、急にそんなに走らせないでよ」
馬に乗るのはこれが初めての小紅はおっかなびっくり、疾駆する馬から振り落とされるのではないかと生きた心地もしない。