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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち

 何故、死んだ人に恥をかかせるようなことをするのだろう。父親の弔いに顔を出さないどころか、やっと出てきたと思えば、紋付きも着ず、着流しのままだ。しかもその姿で位牌に立ったまま香を投げつけるとは。
 準平は武平が実の父親だと信じているはずだ。だとすれば、武平は紛れもなく準平の実の父に相違ない。実の父親の葬儀でこんな醜態を晒して、どうするつもりなのか。

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