テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第3章 【残り菊~小紅と碧天~】 旅立ち

「大切なところだから、抵抗すると傷つけてしまう」
 訳の判らないことを言いながら、準平が淡い茂みの奥を指で掠めた。まだ一度も誰にも触れられたことがない秘密の入り口にそっと指先を挿し入れる。
「―?」
 小紅は眼を一杯に見開いた。ややあって、華奢な身体がまるで陸(おか)に上がった魚のように烈しく跳ねた。
「いやだ、いや。何をするの、いや」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ