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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星

「お前、風邪引いてるの?」
「ええっ」
 二度愕く番である。
「だって、さっきから咳払いばかりしてるからさ」
 愉快そうに言うのは、咳払いがわざとだと見抜いているからだろう。ええい、悔しい。こんな助平な気障(きざ)男に良いようにからかわれるなんて。
「そういうことって、どんなこと? もっと具体的に言ってくれないと判らないんだけど。声とか聞こえてくるって言われてもねぇ」

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