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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星

 両手で持ち、まだ熱々の芋を頬張る。全身がほんわかと温まるようだ。と、栄佐がじいっと自分を見ているのに気づいた。
「私の顔に何か付いてる?」
「いや」
 彼らしくない歯切れの悪い物言いをし、栄佐は少し逡巡してから言った。
「その綿入れ、男物だよな」
 何故か、栄佐の声は低く、不機嫌になっている。

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