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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星

「綺麗」
 小紅の傍らに並んで、栄佐は空の彼方に消えてゆく流星を眼で追っていた。
「知ってるか? 流れ星に願いを掛けると叶うっていうぞ」
 二十三になる男が少年のように眼を輝かせて語る姿も悪くはない。栄佐の顔は舞台化粧なんかしなくても十分美しい。それに、小紅は女のように白粉や紅を塗った栄佐よりも、やはり男らしい素顔の方が良いと思う。

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