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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第4章 【残り菊~小紅と碧天~】 流星

 準平の言葉に、栄佐はハと呆れたような笑いを洩らした。
「見るからにいけ好かねえヤツだと思ったが、俺ァ、あんたがますます嫌いになった。女を金や力で思い通りにできると思うような男は、男の風上にも置けねえ。同じ男として、あんたのようにくず野郎がいるのが情けねえよ」
「小紅、俺と一緒に難波屋に帰ろう」
 準平が一歩踏み出しただけで、小紅は悲鳴を上げた。連れていかれたくないと栄佐の手を掴んだ彼女の手に力がこもった。

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