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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第6章 【残り菊~小紅と碧天~】 運命が動き出す瞬間

 昨日は熱が高くて、一人では粥も食べられなかった。だから、横になったまま、栄佐に粥を食べさせて貰ったのだ。
 むろん、最初は頑なに遠慮したのだけれど。
―なに恥ずかしがってんだよ。こういうのは男と女なんて関係ねえだろ。病人だから食べさせてやるって言ってるんだ。それとも何か、お前は匙なんかじゃなくて、この俺から口移しで食べさせて貰いてえとか?
 意味深な流し目をよこされ、小紅は真っ赤になった。

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