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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第6章 【残り菊~小紅と碧天~】 運命が動き出す瞬間

「おいおい、数珠だけじゃないぞ。俺もずっとお前の側にいて守ってやるからな」
 何故かムキになったように言い募る栄佐を見つめ、小紅は今日という日から自分の新しい人生が始まるような心もちがしていた。
 春弥生、江戸は一年で最も華やかな季節を迎えようとしている。
 寄り添って立つ二人の頭上を黄色い二羽の蝶たちが戯れ合うように飛び交い、いずこへともなく消えていった。


(第一話 残り菊~小紅と碧天~ おわり)

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