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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

 最後の一言が何故か心に引っかかったけれど、深く考えているゆとりはなかった。準平に人差し指で顎をクイと持ち上げられたからだ。
「ふうん? お前、まだ十五だろ? ガキの時分から妙に色気のあるヤツだったが、今は怖ろしいほどの色香だな。あの頃から胸も大きかったし、今はさぞかし豊かに育ってるだろよ。祝言なんて待つのは面倒だ。今夜、お前の部屋に行くから、そのつもりでいろよ」
 あまりといえばあまりの言葉に、小紅は準平の手を思いきり払った。

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