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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

 昔はいけ好かないヤツだったが、今は改心しているかもしれないし、とにかく縁あって夫婦になるのだから、共に力を合わせてこの店を盛り立てて武平の心に添うようにできればと考えてまでいたのである。
 しかし、現実は何も変わってはいなかった。小紅は相変わらず色事しか頭にないような従弟に失望し、同時に言いしれぬ嫌悪を憶えた。小紅はまだ夫婦になるという行為が具体的にどういうものか知らない。

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