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「お前は俺が自棄(やけ)で言ってるんじゃないのかと思ってるんだろうが、これはよおく考えて出した応えなんだよ。小紅、何事も潮時ってものが肝心だ。確かに俺は芝居にかける情熱だけは誰にも負けねえかもしれないが、芸事ってのは正直、情熱だけじゃ、やってられねえ部分もあるのさ。ずっと前に師匠に言われたことがある。お前の芝居は例えて言うなら、中身のない張りぼてのようなもんだって」
「張りぼて？」
　ああ、と、栄佐は頷いた。