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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第8章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 すれ違い

 そのときの心的後遺症で、小紅は男に触れられることさえできなくなってしまった。栄佐なら平気だと健気に言うけれど、彼が髪の毛に触れようとするのさえ、瞬時に察知すれば悲鳴を上げて逃げようとしている。
 彼が髪を撫でても抱きしめても大人しくされるままになってはいるけれど、たとえ栄佐であっても、心の底から受け容れているわけではないのは判っていた。

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