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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第1章 【残り菊~小紅と碧天~】 始まりは雨

 叔父が女房のおきさ亡き後、出来の悪い極道息子を以前にも増して大切にしているのは小紅もよく知っている。その叔父が大切にしている倅を無下にできるものではなかった。
「今夜、せいぜい覚悟しておけよ」
 準平は癇に障る笑い声を上げながら、勝ち誇ったような足取りで去っていった。

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