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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第9章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 嫉妬

 幾ら結婚しようと言われても、結婚なんてするつもりはなかった。また今夜のようなことをずっとしなければならないなんて、絶対にいやだ。あんな恥ずかしくて辛い想いは二度としたくない。
 栄佐を初めて受け容れたときの痛みといったら、並大抵ではなかった。子どもの頃、やんちゃな小紅は庭の樹に上って落ちたことがある。後で両親にはさんざん叱られたものの、脚を打撲した程度で大怪我はなかった。

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