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一度だけ抱いて～花は蝶に誘われてひらく～

第9章 第一部・第二話【赤とんぼ～小紅と碧天～】　嫉妬

　栄佐の言うように、彼を好きだったのだから、いずれ彼に求婚されれば受け容れて所帯を持っただろう。しかし、小紅は栄佐のように容易くは割り切れなかった。男女の関係になるのと祝言の順番が入れ違っただけ、なるほど、世の中にはそんな風に合理的に考えられる娘もいるのだろう。
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