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　あんな酷い形で栄佐に身体を奪われてもなお、小紅は栄佐を嫌いになれない。むしろ、強引に求めるほど彼が自分を欲しているのかと都合良く考えてしまいそうになる。本当は栄佐はただ性欲や鬱憤の捌け口として小紅を抱いただけなのかもしれないのに。
　ここのところ、栄佐は秋の顔見世興行の配役発表を控え、苛々していた。もしかしたら、彼は昨夜、その苛立ちを小紅の身体にぶつけただけなのかもしれない。だからこそ、小紅を守ってやると言った彼が豹変して裏腹に小紅に襲いかかってきたのだ。