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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第10章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 心の嵐

 あの夜、叔父は準平の恋心を知っていたからこそ、身を退いた。だが、必ずしも準平が小紅の運命の相手だと思っているわけではないようなことも言っていた。今となっては、あのときの武平の言葉にこめられた真意は誰も判らない。
 叔父と自分が両想いだと判った夜、彼自身が小紅に告げた言葉の裏にこめられた叔父の想いを小紅は自分なりに理解していた。
 たった一つしかない縁の糸で結ばれた相手を大切にと叔父は言った。

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