テキストサイズ

一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第10章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 心の嵐

 ならば、待つしかない。小紅の心が、怒りが解けるまで栄佐は待ち続けるしかないのだ。無理に抱いて永遠に愛しい女を失うか、それとも、辛抱を重ねて待って、女の身体も心も手に入れるか?
 どちらが利口かは五つのガキでも判る。栄佐は眼を瞑った。
 決めた。俺は小紅を信じて待つ。あれは信じるに値する女だ。現に、手籠めも同然に我が物にした小紅の身体は無垢そのもので、どんな男の通った痕もなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ