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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第10章 第一部・第二話【赤とんぼ~小紅と碧天~】 心の嵐

「お袋も既にあなたの返事は覚悟しているようだ。だから、あなたが何も気兼ねすることはないんですよ、小紅さん」
 小紅は眼に熱いものが溢れるのを感じた。こんな良い人たちを自分は騙そうとした。それは自分の心を偽るよりも数倍も万倍も罪なことだ。
 座布団からすべり降り、小紅は手をつき頭を畳にすりつけた。

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