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一度だけ抱いて~花は蝶に誘われてひらく~

第11章 第一部第三話【月戀桜~つきこいざくら~】 疑惑

「さあ、な。ひと月か、ふた月か。或いはもっとか。とにかく、別件が片付いてからの話だ」
 意味深な科白に、小紅は眼を見開く。
「別件って―」
 栄佐がフイと小紅から眼を逸らした。
「お前は知らなくても良いことだ」
「美桜さんだけじゃないのよ、栄佐さんに治療して貰いたがってる人は他にも大勢いるのに?」
 広い背中に向かって叫ぶと、栄佐は振り向かないままで続けた。

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