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「お嬢ちゃん、あっしが気づいてなかったとでも思うのかい？」
　刹那、小紅は息を呑んだ。万事休す。よもや気づかれていたとは少しも考えていなかった。これだけの危険な雰囲気を放つ男が小紅のような小娘の追跡を気取っていないはずはないのに。まったく自分は何て甘い世間知らずで、無謀なのだろう。