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「いやいや、か弱きおなごに大の男が本気で向かっていくとは許せんことじゃ」
　男はまだ若いようで、年の頃も栄佐と変わらない。よくよく見ると、旅の途中らしく、背中には荷物を背負い込み、菅笠を被った旅装である。
「お武家さまは旅の途中でいらっしゃいますか？」
　差し出た質問かとも思ったが、助けて貰った礼にお茶の一杯でも差し上げて休んで頂いてもと訊ねたのである。