二人の未知〜X'mas短編
第1章 エピローグ
「抱かれてもトオルの気持ちがないのもわかってたから‥‥
だから‥
恋人同士なのに‥っ‥
ずっとあたし‥の‥っ
片想いなんだって‥‥
苦しくて‥‥
でも、あたしから終わらせる勇気が‥なか‥たッ
だから‥トオルが振ってくれたらいいのにって‥」
「‥‥‥ずっと?
俺のこと‥ずっと好きだった?…」
信じられずにトオルは聞き返す
その問いに奈美は涙をこぼしながら頷いた
トオルは奈美を見つめた──
…だってコイツ、目の前で俺が他の女と携帯でデートの約束しても顔色ひとつ変えたことなかった──
「うそ‥‥マジで…っ」
トオルはそう呟き赤くなりながら緩む口元を手で隠す
じゃあ‥あの時の笑顔は、俺のこと思って浮かべたってことか?‥
トオルは片想いの相手のことを微笑みながら話した奈美の笑顔を思い出した
‥なんだ‥
俺‥めちゃめちゃ器用な奴だ‥‥
自分に嫉妬してたわけだ‥‥
トオルは奈美のあの笑顔が自分に向けられていたことに気づき胸が堪らなく疼いた
「奈美‥」
トオルは奈美の名を呼び唇を近づける
「──!?‥なにその手?」
奈美はとっさに自分の唇を手で塞いでいた
「‥‥だって‥
プリン食べたから‥」