I'll be with you.
第13章 本当の自分
そして、心君はカメラに向かって優しく、穏やかな表情で語りかけた。
「小さい頃、母さんに頼み込んで空手をやらせてもらってたんです。
母さんは殴り合いとかが心底嫌いで猛反対されたんだ。
でも、俺は家に父さんがいないから
俺が母さんを守らなきゃって小さいながらに使命感的なものを感じてたんです。
反対する母さんを何とか説得して空手をやるって決まった時、母さんに言われたんです。
“ いつか現れる大切な人を守りなさい “って……
俺は高校生の時、2度も暴力沙汰を起こして退学になったけど、
そのおかげで、大切な人を守れた。
だから、残念ながらその件については全く後悔はしてませんよ」
心君はスラスラと自分の過去と自分の考えを添えて丁寧に語った。
自分が不利になる話でも一切嘘をつかずに、正直に話す心君に、司会者は面白くないようだ。
「その大切な人とは……?
どうゆうご関係で…?」
ツッコむところがなくなった司会者はプライベートなことを聞いてくる。
会場の人達が息を呑む中、心君は極上の笑顔で答えた。
「俺の恋人です」