I'll be with you.
第15章 元カノ
明るかった辺りは暗くなって、明かりが灯り始めていることに気付いた。
何度も震える携帯を握り締めて、
あぁ、もうこんな時間か。
なんて当たり前の事を思ってた。
家に帰れば優が晩飯をテーブルに広げて待ってるんだろうな……
美味い飯を食いながら優と向かい合って笑いながら話をして……
幸せだよな……
本当、幸せだよ。
「……それすらも許してもらえないのかな…………」
小学生の頃から一緒にいた亜美は、優のことももちろん知ってる……
本当の兄妹じゃないことだって……
「……優…………」
こんなに近くにいるのに……
また、優を失った気分だ
「……フッ……ほんと臆病者……」
ぶず濡れになった前髪を上げて何も見えない空を見る。
「……ずっと…
………俺は優の兄ちゃん……」
わかってるよ、そんなこと。
この関係はずっと変わらない。
じゃあさ……
この宛のない想いはどこに届ければいい?
「……俺は優が好きなんだよ……ッ…」
どうしたって
優は手に入らないのにな……
『………すごいね……』