I'll be with you.
第16章 折りたたみ傘
タクシーに乗って亜美が運ばれた病院に着いて玄関ロビーに向かうと、
「未来!」
玄関ロビーで俺のことを待っていてくれた。
俺を見るやいなや、目に涙を浮かべで駆け寄ってきた。
『……ッ…カナ…カナ……!!』
「泣くな泣くな。
亜美を助けてくれてありがとうな。
未来は、よく頑張ったよ」
それから、コウが来て今までの話の経緯を聞いた。
俺は自分でも驚くほど冷静にコウと未来の話に耳を傾けた。
全て聞かされた後も、逆にみんなを慰めている形になっていた。
「みんな、亜美を助けてくれてありがとう」
それでも、未来だけは俺の手を握ってずっと涙を流していた。
その行動は、まるで俺が何をするかわかっているように……
俺のお姉さんのような未来。
その声は、俺の傷心を包み込むように優しかった。
カナが悪いんじゃない。
誰もカナを責めないわ。
私達はカナの味方よ……
未来の優しすぎるくらいの言葉が真っ黒な俺を苦しめた。
それから、心が来て優が来て
全員揃った中で俺はもう一度みんなに感謝の言葉を口にした。
「……亜美を助けてくれてありがとう」
……この言葉に嘘はない