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I'll be with you.

第16章 折りたたみ傘




「奏斗君…頭を上げなさい……」


「……」


『お願い……頭を上げて』



お母さんに無理矢理頭を上げられて椅子にまで座らされた俺。


本当に情けねぇよな……



「奏斗君は、亜美の彼氏なのかい?」


「……いえ…一ヶ月前に偶然再会して……」


「…そうか、

もしかしたらあの頃からずっと付き合ってるのかと思ってね……」


「……すいません」



亜美のご両親は小さい頃から知ってる。


家族ぐるみの仲良しだったから……


それでもこの話とは別。



「……亜美は、ずっと家でも奏斗君の話ばかりでね」


「……」


「中学の時が一番楽しそうだった……」


「……」


「……でも、高校生になって奏斗君と離れた途端、

自傷癖がね……度々あったんだよ

今回のようなことも……」


「……ッ」



お父さんの顔を見ることができず、膝にギュッと拳を作って下を見ることしかできなかった。




「……奏斗君と再会して亜美も嬉しいだろうに…

これからも亜美をよろしく頼むよ……」




これからも……




ずっとこんなことが続くのかな……




ずっと……










「……はい」





それでも、責任はとらなきゃいけない



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