I'll be with you.
第17章 2度目の恋
『奏斗!?大丈夫!?』
胸を押さえて苦しそうに顔を歪ませる奏斗。
『苦しいの!?待ってね今救急車呼ぶから!』
慌てて鞄から携帯を出して119の短い番号を押して発信しようとしたけど、奏斗が私の携帯を奪った。
「……借りた傘を返しに来ただけだから…………」
そう言ってずっと握り締めてたびしょびしょの傘を私に差し出してきた。
『……こんなに濡れて…
今日じゃなくたって…ッ…』
「……今日返したかったんだ。
明日からは…忙しいから……」
奏斗は柱につかまりながらゆっくり立ち上がると、私を見下ろして頭を撫でた。
「……陽…
……笑って…………」
『……っ』
《 陽が笑ってくれたら
俺も笑えるような気がするんだ 》
目の前にいる奏斗は確かに
橘 奏斗だった
『……奏斗の為に笑ってあげる
奏斗……
みーつけたっ!』
奏斗の頬を両手で掴んで逃げられないように……
私から目をそらさないように……
奏斗を見失わないように……
『……奏斗、自分を追い詰めないで…』
ゆらゆら揺れる瞳に、そっと問いかけた。