I'll be with you.
第20章 キミ想い
電話を耳に当てながら、止むことのない陽ちゃんの悲痛な声を聞いた。
外を見れば、さっきまで降っていた雨は止み清々しい朝日が部屋の中を微かに照らしていた。
こんなにも綺麗で、 ありふれた空の色
平和な光景とは裏腹に、私たちが直面した現実は真っ暗で汚れていた。
「…泣くな、優……」
携帯を私の耳と心君の耳で挟むように、私を優しく抱きしめる腕。
いつもなら、何も不安を残さないくらいきつく抱きしめる彼の腕が
今日だけは違った。
「……ッ なんで…」
やっと絞り出した言葉と、震える腕。
ずっと聞こえる陽ちゃんのこころの叫びを
ただ、私たちは聞くことしかできなかった。
何も言えなかった。
もっと気の利いた言葉をかけたかった。
何もかもが手遅れだった