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ソウル・雨─AtoZ.

第4章 雨の午後─

 …「ユノ」遅い午後。リビングのソファーに俯ぶせに寝ている背中にソッと、声を掛けた。「帰ってたんですね」ユノの傍らに腰を下ろす。「お昼食べました?─もうそろそろ夕方ですけど」ユノの寝乱れた髪から雨の匂い。「ハムとパイナップルの炒めたの…作ったんです。今、食べます?」少し身動きしたユノの髪から、また雨の匂いが、した。「…じゃ今夜ポトフにしますから一緒にしましょう」ユノの髪を片手で掬うようにしてチャンミンは指先を遊ばせる。「…僕、今まで部屋で本読んでたんです」黙っているユノに構わず、楽しげに話を続けた。「ローマ帝国をハンニバルが象を使って滅ぼす物語なんです…」

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