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ソウル・雨─AtoZ.

第5章 真夏の泡色。。。

 細長いガラスの嵌まったアイボリーの扉を、軽く叩いた。…応えは無い。「ゴメンね、入るよ」 扉を少し開けると、雨に濡れたように雫を垂らして、髪を額に張りつかせた顔が覗いた。いっぱいに、扉を開けた。ユノが全裸で立っている。その若い男神の彫像のようなユノを、チャンミンは抱きしめる。「─急に、入って来て…ご免─」頬に朱を走らせ、チャンミンはぎこちない動きで、ユノから離れ「返事なかったから、シャワーなのに─。悪い…ユノ」俯き、口ごもりながら「入浴発泡剤、切れてたでしょう?…」浴室に体を滑り込ませた。「今、取りに行こうと思って」ユノはバスタブに体をゆっくりと沈め「有り難う。…じゃあ入れてくれる」浴室の中は、霧の中のようだ。「お前が足痛いなら、これが良いって─温まると痛みも楽だよ…」チャンミンは笑顔になる。
 「外まだ…凄い雨なんです─でも足痛まないなら、効くんですね」バスタブの脇の床に、膝をついた。柔らかいシルクの感触のお湯に、両手を差し入れて「─腫れて、いませんよね…」ユノの脚を壊れもののように、扱った。「平気だよ、心配かけて…」ユノの言葉は途切れた。チャンミンの唇が、ユノの足の裏に押し当てられている。

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