ソウル・雨─AtoZ.
第6章 雨を聴きながら…
体の向きを変えようとして、肩を、捉えられた─。「こうしていようよ─」チラリと、瞳をチャンミンに移し、睫毛を伏せながら、軽く頷いた。 「…ユノ」独り言の小さな小さな呟き…。─芯に燻る、怠さをともなった火照りが、まだお互いに、残る─。…ふっと不安げにユノの瞳が、動いた。微かな震えが肩から、伝わって来る。言葉をかけようとして、後ろから、きつく胸に手をまわされ、目を閉じた。髪の毛に感じるチャンミンの吐息が、さらさらと髪に音を立て、細かい雨の降る音に聴こえる。─…チャンミンは眠ってしまったのか─胸元に、まわされた手に、自分の手を重ねた。…違う─…いつもなら、顔を見合わせながら、思いつくままのことを話し笑い合うふたりだった。……泣いてる─? くるりと向きを変える、チャンミン。急に、背中に感じる冷ややかな夜の空気に、一瞬ユノは氷を押しつけられた気がした。