ソウル・雨─AtoZ.
第6章 雨を聴きながら…
「ピアス─」…くぐもり声にユノは我にかえる。「もう、前のことだし…忘れたと思うけど」まるでひとりごとのような声。口調は静かで…降り頻る雨も小止みになって、耳を澄ます─そんな静かな…冷え切った静けさを含んだ言葉。「プレゼントした…青の─」モノローグは続いた。「片方落っことしたってユノ、笑って云った…」張り詰めた夜の空気が、宙から降りてくる。「部屋…整理してて踏んで、─痛かった」「─ア、いつ…」
小さなわらい声が、それに答えた。「だから、前のことだって」チャンミンは口を閉ざした。ふたりは、背を向け合って横たわっていた。向こうをむいたまま、「僕の部屋に落ちてたんです」「お前の部屋…」─剥き出しの肩に、チャンミンは薄い毛布を引き上げる。「もう、いいです。そのことはね─」今度は、ユノが口を閉ざした。
「4年…」何かを思い出した口振り。「まるで何十年も、経ったみたい…」「まだ昔話か─」薄く、チャンミンは、微笑う。「昔でも何でもいい」聞こえよがしの溜め息を、ユノが吐く。「あの頃。僕─楽しかった」瞳は閉じられた。夢みる表情はそのまま…「アジアの芸能界で今は僕がエース…って云われて幸せって思ったこと、─一度もない」
小さなわらい声が、それに答えた。「だから、前のことだって」チャンミンは口を閉ざした。ふたりは、背を向け合って横たわっていた。向こうをむいたまま、「僕の部屋に落ちてたんです」「お前の部屋…」─剥き出しの肩に、チャンミンは薄い毛布を引き上げる。「もう、いいです。そのことはね─」今度は、ユノが口を閉ざした。
「4年…」何かを思い出した口振り。「まるで何十年も、経ったみたい…」「まだ昔話か─」薄く、チャンミンは、微笑う。「昔でも何でもいい」聞こえよがしの溜め息を、ユノが吐く。「あの頃。僕─楽しかった」瞳は閉じられた。夢みる表情はそのまま…「アジアの芸能界で今は僕がエース…って云われて幸せって思ったこと、─一度もない」