ソウル・雨─AtoZ.
第8章 雨の夜の彼方へ─
そのまま、瓶を口に持っていった。─ユノを引き寄せる…。ふたりの口の端から、紅い細い河の筋が流れる。チャンミンは、唇を、そっと、動かしてユノの口の周囲を、拭った。
─静かに、ユノから離れ、外窓に顔を向ける。冷たい青い凍ったようなガラスを見る─。
ゆっくりと、瞳を伏せようとした。微かな息遣いが、聴こえてきた。
─瞳を閉じ、不規則に少しずつ高まってゆく、…激しくなる息を動かないままに聴いていた。
腰の辺りに、震えながら、触れるものがある 。唇に紅い色を僅かに残し、目を閉じ、身動ぎもしないチャンミンの背中に沿って、指先が触れてくる。
言葉にならないため息も聴こえた。…手はチャンミンの肩を、探り当てた。
低い、小動物の呻きに似た声…摩天楼を蒼く染め上げているらしい真夜中の雨の雲が、青い風の匂いを運んでくる深い夜。
呻きは哀願に変わった。震えが増した指先はチャンミンの髪を乱した。 シーツから這い出、助けを求めるように、チャンミンの背にすがりつく。瞳も開けないチャンミンの体に、軟体動物のように纏わりついた。軽く口を開け、荒々しいため息を時々吐き出しながら、熱っぽい体を押しつける。
─静かに、ユノから離れ、外窓に顔を向ける。冷たい青い凍ったようなガラスを見る─。
ゆっくりと、瞳を伏せようとした。微かな息遣いが、聴こえてきた。
─瞳を閉じ、不規則に少しずつ高まってゆく、…激しくなる息を動かないままに聴いていた。
腰の辺りに、震えながら、触れるものがある 。唇に紅い色を僅かに残し、目を閉じ、身動ぎもしないチャンミンの背中に沿って、指先が触れてくる。
言葉にならないため息も聴こえた。…手はチャンミンの肩を、探り当てた。
低い、小動物の呻きに似た声…摩天楼を蒼く染め上げているらしい真夜中の雨の雲が、青い風の匂いを運んでくる深い夜。
呻きは哀願に変わった。震えが増した指先はチャンミンの髪を乱した。 シーツから這い出、助けを求めるように、チャンミンの背にすがりつく。瞳も開けないチャンミンの体に、軟体動物のように纏わりついた。軽く口を開け、荒々しいため息を時々吐き出しながら、熱っぽい体を押しつける。