夜が明けても傍にいて。
第16章 泣いていた君
---だけど、
莉菜と接触しようと思ったその日
莉菜は泣いていた。
人通りの多い街の中でボロボロと泣いていた。
俺は…声を掛けることが出来なかった。
別の日も莉菜は泣いていた…。
偶然街で莉菜を見掛けた時は
ちょうど莉菜の視線の先に春樹と探偵に調べさせた3人以外の新しい女が二人で歩いていて
やっぱり泣いていた…。
俺は…本当の目的を最早忘れそうだった。
いつも泣いている莉菜が不憫で
あんな男止めろよって言ってやりたかったんだ。
家に帰れば莉菜の泣き顔を思い出して気になるようになっていった。
もちろんうちの会社の支社に居ることもわかっていた。
そのうち探偵から二人がちゃんと別れたらしいと連絡をもらった。
俺はその時ホッとしたんだ。
それから数日後取り引き先の親しい男と話していた時、そいつが明日、合コンに参加すると言い出した。
前から狙ってた宮西莉菜ちゃんが来るんだ、と
かなり気合いが入っているようだった。
俺は当日接待の予定があったのに
何故か莉菜のことが気になっていた。
気付けば俺は大事な接待の途中で腹の調子が悪いと嘘を言って抜け出していた。