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夜が明けても傍にいて。

第18章 不信感

気付けば愛花さんの挨拶が始まっていた。


「短い間ですがお世話になりました。また、こちらに来ることがあればその時は宜しくお願いします。

その前にまだ一週間あるんで最後まで宜しくお願いしますね。」



綺麗な人だと思った。


あんな綺麗で優しそうな笑顔を見れば嫌味を言うような人だとは誰も思わないだろう。


外に出て、皆が愛花さんを囲んでいた。
皆から見れば便りになる仕事ができる上司だ。





愛花さんがタクシーに乗り込む前に慎也に声を掛けた。


「慎也、一緒に乗ってって?」


愛花さんがそう言うと慎也は「いや…」と言い掛けたが周りの社員によってタクシーの中に押し込まれた。


「結婚式には呼んで下さいね。」とふざけて言う人も居て、私にはとても冗談には聞こえなかった。


二人を見送ると幸太が「送るよ。」と声を掛けてくれた。


一度は断ったのにこの時の幸太は引かなかった。


今まで見たことの無いような男の顔をしていてドキッとしてしまった。


「幸太?狼になったら即嫌われるわよ!」


美穂は幸太にそう言い残して迎えに来てくれるという友達との待ち合わせ場所に行ってしまった。



「ほんと、アイツ母親みたいなんだけど。」


幸太がそんな風に言ったから笑ってしまった。

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