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夜が明けても傍にいて。

第19章 涙のbirthday

莉菜は急に俺の胸を押し返して沢山ご馳走作ったの、と離れて行った。


なんだかすごく…切なかった。


もう会えない訳じゃないのに…
この感じ…何だろう。




「見て見て!慎也の好きな物…って言ってもあまり知らないけど…私が知ってる物は全部作ったよ!」


俺の前でこんなにはしゃぐ莉菜を見たのは初めてかもしれない。


テーブルの上には沢山の料理が並べてあった。


「短時間でこんなに作ったのか?」


「実は昨日から家で下拵えを済ませておいたの。」


可愛く両肩を上げながら、莉菜は照れ臭そうに教えてくれた。



莉菜に触れたくて手を伸ばすと…


「あ、ビール取って来るね!」



まただ…

手に少し触れただけでスルリと逃げられた。



莉菜…何を考えてる?


そのはしゃぐ姿の裏には何があるんだ?



俺は冷蔵庫の前でビールを取り出そうと前屈みになっている莉菜に近付き


後ろから腰に手を回した。

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